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男着物のススメ9 ~和色の名前の美しさと季節感を楽しもう~

春の哲学の道

日本には美しい四季があり、俳句や短歌にも「季語」を入れるルールがあるなど、昔から日本人は季節にとても敏感でした。そして、季節を食事や和歌などに取り込んで楽しんでいたのです。

日本には「和色」という日本独自の色があります。

オレンジではなく橙(だいだい)や山吹(やまぶき)、ピンクではなく桜(さくら)や紅梅(こうばい)、赤、青、といった色も、赤なら朱色、小豆色、青なら群青色、孔雀色など、なんとも風情あるお洒落な名前がついています。

植物や食べ物、動物や自然から取ったものが多く、その由来から、季節に合わせて色をチョイスして着物に盛り込む楽しみ方もあるのです。

そのほんの一部をご紹介します。

【春】

・桜
言わずと知れた淡いピンク色です。

・山吹
黄色味の濃いオレンジ色のようなイメージです。

・若葉
淡い緑色です。萌黄色も若葉色に近い色です。

・菫
濃い紫色です。

【夏】

・露草
スカイブルーのような、濃いめの水色です。

・若竹
パステルエメラルドグリーンのような色味です。

・薄浅葱
淡い水色です。

【秋】

・柿
まさに「柿」の色です。少しだけくすんだ赤っぽいオレンジ色です。

・栗皮
栗の皮のような濃い茶色です。

・茜
秋の夕焼けのような濃い赤色です。

【冬】

・銀鼠(ぎんねず)
少し青みがかった灰色です。

・白梅
ほんのり赤みを帯びた白です。

・消炭
濃い灰色です。

これらの季節にまつわる色を重ねて、ひとつの花などを演出する事もできます。
例えば藤色と萌黄色をかけあわせて、藤の花を表現する事ができるというわけです。

洋服でも「秋色コーデ」なんて言葉があるように、着物ならば色の名前まで考えてコーディネートすると、一層楽しくなりそうですね。